2015年4月13日月曜日

流木


嵐のあと 海岸に打ち上げられた流木を遥か遠くに見た

鷲のような翼がその上にあった

飛び立つ瞬間をとらえようと

目を凝らしてみたが 翼は微動だにしない

その内 波にもまれた流木が

鳥のカタチに梳られてそこにあるかのようにも思われた

沈黙 まるで静物のように

じっと待っていたが とうとう確かめずにその場を去った


次に訪れた時には あの流木は

もうそこにはなかった
 

カモメと船




2015年4月12日日曜日

孤島へ


まばたき


灰色の光景

可能な限り 素早く描くということ

重さも厚みもマチエールもない

ひとつの羽ばたき

それは鳥が一瞬のうちに飛び去ってしまうからでも
絵画空間に躍動感を与えるためでもない

―内なる孤島への打撃―


点でも面でもない

ひとつの線として

筆を持つその腕が舵となる



灯台



堤防の上を歩きつづける夢

潮がのぼる日には

足元から彼方へと

道は無限にのびているように見える

この特権的な通り道の上では

風の音がよく聞こえ

鳥にすこしだけ近づく


2015年4月10日金曜日

夜の灯台


橋の上 バスの窓から

灯台の光をみた

闇の中から島々が現れては消えていく

その夜

一体どこからどこへと移動していたのかは記憶にない


二隻


カモメ


カモメは孤島を離れ

いくつもの荒海を越え旅をするが

行きつく先もまた

やはり絶海の孤島でしかない

そうしながら

広大無辺の空間を流れつづける


孤島へ